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      筆跡鑑定の方法  
 

 

 筆跡の鑑定方法とは

 
 

人は、文字を書くときに、さまざまな特徴を現します。

 

 

子供ころは字体を学ぶ際の手本となる教科書や指導者などの文字に影響を受けますが

精神的にも肉体的にも成長した年代になると

個人の筆跡個性は明瞭となり、筆跡が固定化し個人差が生まれます。

 

この筆跡に出る、個人の癖(筆者特徴)を科学的に解明し

その文書が同一人なのか否かを識別することを筆跡鑑定と呼びます。

 

 

筆跡の特徴とは

筆跡鑑定で、よくいただく質問とは

 

「あのぉ〜筆跡鑑定って、文字の何を見て識別するんですか?」
「この文字、この部分の特徴が、すご〜く、似ていると思うんです」
「だから、わたしには、この文字、同じ人が書いた文字だと思うんですが?」

 

実は、ここに落とし穴があるのです。

 

この質問に「うんうん」と同感できる「あなた」・・・

 

筆跡(文字)をパターン(形)として認識していませんか?

 

このパターンがズレると「筆者」が誰だか解らなくなります。

逆に、文字パターンが似ていると同じ「筆者」筆跡に見えてしまいます。

 

 

ヒトのパターンとは、例えば足跡

毎日歩く通勤路でも、その日の体調や天気、靴や道路などの条件が変わると

同じ人の足跡のはずなのに、ずいぶん変わりますよね。

 

 

・・・法科学における、筆跡の定義とは・・・

 

「筆跡は書字運動の一部が固定的に筆跡として残されたもの」

 

と、されています。

 

 

つまり、筆跡を分析的に観察すると言うことは

筆跡を通して筆者の「書字行動の一部」を捉えること

 

 

ですから、単に、文字(筆跡)の形(パターン)の違いを比較する事では、ありません。

 

 

ヒトには、それぞれ固有の傾向があります。

(簡単なところだと、利き手は右手とか・・^^)

 

この固有の傾向は個人差、希少性、恒常性として、捉える事ができます。

 

 

ここからが大事!

でも、個人差、希少性、恒常性として、捉えても、筆跡は「書字行動の一部」ですから

いつも、同じではありません。

でしょ!

 

 

ですから、法科学の筆跡鑑定では、たくさんの文字(文書)を検証して

「同一人か否か」を判断しています。

 

なぜなら文字とは「書字行動の一部」であり

ヒトの行動のチョットだけの結果だからです。

 

 

・・・筆者(ヒトを)識別するには・・・

 

書かれていない「ヒトの行動」を「科学」しなければ、なりません。 ←よね♪

 

 

この「科学」こそが「法科学における法文書鑑定」の神髄なのです!

 

 

 

筆跡鑑定の検査とは

 

法科学の筆跡鑑定人は何を見ているのか?

 

法科学における法文書鑑定のラボ内部で行われる検査を順を追って紹介します。

 

 

鑑定資料が到着し法文書担当者に手渡しされます。

すぐに資料全体状況の確認、どこから、だれから、いつ、など細かく記録されていきます。

外観写真の撮影、送り状、受け取り書、鑑定指示書の確認。

 

さ〜いよいよ、検査台に資料が広げられます。

1枚づつ、ライトビューアー(白色発光テーブル)に乗せ所見が始まりました。

 

@予検査(鑑定資料の所見)

 資料が鑑定になじむ資料なのか否か

 文筆の種類や書式、原文か複写か、複写なら解析可能な複写か否か

 ※この段階で目的を考慮し、おおよその鑑定方法を決めて行きます。

 

A外観検査(文書全体の所見)

 ヒトは何かを書く時に、文書全体の構成を一瞬にして決定しています。

 これは、そのヒトの経験によるものですから、経験に違いが出れば個性が生まれます。

 ※この検査が終了すると、筆跡鑑定の戦略を立案、施策します。

 

B本検査、その1(文書全体の分析検査)

 文字の種類や配字、不自然な文字や作為文字などの検査。

 (本検査の始まりです!城責めのように城の回りを包囲し、外堀から崩していきます)

 

C本検査、その2(文字列の分析検査)

 文章の状態、配列や整列、文字間の続け方などの検査。

 (城内に責め入りました。・・・慎重に些細なものも見落とさず・・・)

 

D本検査、その3(文字の分析検査)

 一文字に関する検査。

 ここでは「文字」そのものを精査していきます。

 この分析方法は検査資料の状況により変更し、最も適した検査方法を採用します。

 (ここまでの状況を判断し陣営を立て直し 、本丸を目指します)

 (いよいよ、城の中に責め入ります。・・・そして、城主を捜します)

 (一部屋づつ、丁寧に、廊下も天井も・・・もぉ〜逃がしません)

 

E解析(鑑定)

 全部の分析結果を冷静に判断していきます。

 得られた分析結果を公平で中立的、 真実のみを検証して行きます。

 ※鑑定人の科学者としての底力 (知識・情報・技術)が発揮されます。

 (捕らえた城主を確認します。・・・もしかすると影武者かもしれません!)

 

F鑑定書の作成

 目的を考慮し、文章構成を決定、簡潔に結論と経緯をまとめ上げます。

 その結果に至った分析経緯を記載、分析写真を用意、分析資料を用意。

 鑑定書を何度も読み直し、修正校正されます。

 そして、やっと鑑定書が出来上がりました。(お疲れ様〜でも、まだやることはある)

 

G鑑定書を郵送

 受け取り確認つき書簡にし、直接郵便局に持ち込みます。

 

H鑑定結果の説明

 鑑定の「結果」、「その理由」、「結果を導いた課程」などの説明を行います。

 近県地裁などは、裁判官・書記官と面談し鑑定結果の説明と質疑応答を行います。

 鑑定書の説明を求められ法廷に立つことも・・・

 

 

◇ ◇ ◇

 

これらをチームで分担し行っていきます。

すごい手間でしょ(^^;

(ですから、チョットだけ見て、筆者識別は、超・絶対!_なのです)

 

 

沢山の解析方法が存在する法文書鑑定

 

一般のかたは、筆跡鑑定を同じ文字による一文字づつの比較検査と

イメージされる方が多いと思われます。

 

それは、書を初めて習う小学校を連想されるからだと思います。

 

ですが、私たち法科学で行われる筆跡鑑定は、筆跡による個人識別科学です。

 

科学と言う意味の英語=Scienceは

ラテン語に由来するScientia(知識=実験や観察に基づくもの)

が基となりとなりました。

 

法科学に於ける法文書鑑定とは、実験や観察に基づく研究です。

 

筆跡鑑定とは「文系=書の教育」ではなく「理系=書の科学」なのです。

 

 

 

筆跡は、字画構成、字画形態、運筆状態の3つが互いに

相互関係を築き形成されています。

 

一文字の一部分のみ「屈折部」や「はね部」など

一文字の一部分だけを比較しても筆者識別は、できません。

 

法文書鑑定では第三者の筆跡である可能性を限りなく排除する

科学的な方法/手法により解析していきます。

 

 

実は、この科学的な解析方法は、本当に、たくさんの方法があります。

 

 

これらの解析法は、検査資料によって多面的/客観的な見地から決定されていきます。

 

通り一遍の一種類の解析法がベストという訳ではありません。

 

法文書鑑定と言えども、一種類の解析方法で何でも鑑定できる訳では無いのです。

 

 

弊所の場合、検査資料を受け取ると

法文書担当者と最低2人以上の鑑定人に客観的意見を求めます。

 

 

裁判所からの依頼で鑑定合戦に展開した後の裁判所鑑定の場合など

複雑な鑑定依頼の場合、複数人の鑑定人から意見を求める事も多々あります。

 

 

客観的解析、これが法科学の基本だからです。

 

 

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